2002 FIFA WORLD CUP KOREA/JAPAN 観戦日記
Match.11 イタリアvsエクアドル
2002.6.3 札幌ドーム
「AZZURRI」
AZZURRIが札幌にやってくる。嘘のような本当の話だ。
昨年11月7日。埼玉2002での日本代表vsAZZURRIに強引に参戦した際の観戦日記の冒頭にも書いたが、僕のサッカー馬鹿の原点はイタリアである。
だから、昨年12月1日のファイナル・ドローで「G1xG2」のカードを持っていた僕は、とにかくAZZURRIにG組シードになって欲しいと願った。この先二度と、札幌でAZZURRIを観る機会はないだろう。しかも、W杯のような真剣勝負ともなると、それこそありえないだろうと思ったから。。。
するとどうだ。G組シードは見事AZZURRIに決定!
願えば叶うものである。。。
今大会のAZZURRIは優勝を狙えると思っていた。贔屓目であるのは否定しないが、今大会は「予選リーグの組み分け」から「決勝トーナメント」まで、かなり恵まれていたのは事実。G組には予選リーグ突破に障害となるチームはないし、決勝トーナメントの韓国ラウンドでライバルと目されるのは、B組のスペインとD組のポルトガルぐらいなものだ。A組のフランスとC組のブラジルに死のF組が絡む日本ラウンドと比べたら、これはツイているとしか言いようがない。
過去3大会連続で決勝トーナメントでPK負けしていることからも分るように、AZZURRIの最大の泣所は攻撃陣だったのだが、今大会はビエリとピッポのツートップに、アレックス、マルコ、モンテッラが控えに甘んじるというAZZURRI史上最強の攻撃陣が結成された。この超豪華な攻撃陣をトッティが操り、AZZURRI伝統のカテナチオを、今大会にW史上最多出場試合記録の更新が懸かるマルディーニが引っ張るという、まさに死角なし。磐石の構えだ。
Euro2000決勝で、フランスに後半ロスタイムに追いつかれ、トレゼゲにVゴールを許した悪夢から2年。
今大会はAZZURRIの大会になる。そう信じて疑わなかった。。。
ドイツ大勝の余韻も冷めやらぬ、6月3日。僅か中一日で、再びドームへと足を向けた。
仕事を早引けしてW杯に行くという、この非日常的な生活。嬉しすぎて、頭がおかしくなりそうだ(笑)
この日のチケットはホーム側CURVA(AZZURRI側)だったので、前回のドイツ戦とはまったく別の入場口。といっても、普段札幌のゲームで使用している北ゲートからの入場となった。この日は朝から雨だったので、開場もかなり早まったようだ。僕らがドームに到着した時は、ちょうど雨の切れ間だったらしく傘などは必要なかったのだが、その直後に集中豪雨があったらしく、ドームに入ってくる人入ってくる人、みんなびしょ濡れになっていた。。。
ドームのありがたさを実感する瞬間である。
この日は前回の失敗を繰り返さない為にも、グッズショップで欲しいものはさっさと買い込んだ。また、この日気づいたのだが、売店の弁当などのメニューは値段も商品の種類も同じなのだが、売っているものは店それぞれで違ったのだ。同じ「洋風弁当」でも、隣の店とは値段は同じだけど中身はまったくの別物。といった感じだったので、この日も「洋風弁当」を購入。スタンドでコレを頬張りながらAZZURRIの登場を待った。
W杯初出場にしてこれが初試合というエクアドルのサポーターが真向かいのアウェイCURVAを黄色に染め、入場直後から太鼓で軽快なリズムを取りながら陽気に騒いでいる。
日本のサポーターがW杯初出場で初試合の行われたフランスの「トゥールーズ」を永遠に忘れないのと同じように、彼らエクアドルのサポーターも日本の「サッポロ」という場所を、試合の結果に係わらず恐らくは永遠に忘れはしないだろう。そう考えただけでも、W杯が札幌で開催されたことに感謝し、とても嬉しく思う。。。
AZZURRIのサポーターはというと、僕ら側CURVAに陣取った訳だが、それほど大挙して押し寄せたという感じではい。ただ、にわかAZZURRIファンのおかげでCURVAはほぼAZZURRI一色。なので、必然的にサポートはエクアドルの圧勝!といったところ。
ただ、AZZURRIの選手たちがひとたびピッチに姿を現すと、もの凄い歓声が沸きあがり、エクアドルのサポーターも一瞬たじろいだようだ。
トッティ、ビエリ、カンナバーロにアレックスら、そうそうたるメンバーが札幌ドームのピッチに立っている。最初にも書いたが、嘘のような本当の話だ。
彼らは皆、目の前で行われている子供たちのサッカーを眺めては、いいプレーに拍手を送るなど、これからW杯の大事な初戦があるとは思えないほどリラックスしているように見えた。
それでも、ピッチ練習を始める頃にはチームにピリピリとした緊張感が漂い、選手たちの表情もみるみる変わっていく。
それが肉眼で確認できるほど近くで、AZZURRIがピッチ練習をしているのだ。ドームの構造に感謝。ドームに来てくれた事に感激。ホーム側CURVAのチケットだったことに感涙。。。
エクアドルの選手たちもピッチ練習を開始したことで、ドームの雰囲気も一変。エクアドルの応援は益々ヒートアップし、黄色い波が揺れている。こちらAZZURRI側は本国からきたサポーターが、にわかAZZURRIファンを扇動して「ITALIA!ITALIA!」の大合唱。ドームは濃い雰囲気に包まれていく。
と、ここで、僕らのちょっと前の座席でなにやら問題があったようだ。
「なんだコレ!同じチケットが2枚あるぞ・・・」
確かにそう聞こえた。二重発券である。
結局のところ、近くの空席にあとからきた初老の男性が移ることで事なきを得たようだが、実際にあった発券トラブルである。これについては後に分った事だが、これと同じようなケースがこの日20件ほどあったらしい。というのも、この日の夜明け前。ウィルコール・セールス(以下WCS)で日本vsベルギーのチケット奪取に挑戦していたのだが、実はイタリアvsエクアドルに関しては「いくらでも獲り放題」だったのだ。カテ3を6連番にしても楽々獲れちゃうような状態で、しかも席は最前列とか2列目とかの良席ばかり。もし札幌にKIOSKがあれば、友人知人の分として買いまくることも出来ただけに非常に口惜しかった・・・。だが実は、このようにWCSでチケットを獲ったのに札幌での発券が出来ないというのはどういうことか?ということこで、札幌のチケットセンターにそれなりの数のサッカーファンが押し寄せたらしく、バイロム側ではWCSでチケットを獲れた人には、WCSで獲ったチケットと予備席を交換発券するという荒業を繰り出したようだ。こうなると、当然WCSで獲ったチケットとは違う席になるのだが、この時「ほんとに予備席なのか」というのをちゃんと確認をしないで交換発券されたチケットが、二重発券となったのだ。
恐るべしバイロム。
しかも結局この日の入場者数は、僅か31,081人。なんと、ドイツ戦を下回るという大失態!これには怒りを通り越して呆れてしまった。。。
おまけに僕らがいるホーム側CURVA(AZZURRI側)のブロックのど真ん中に、どういうわけかエクアドルのサポーターが大量にいて、イタリア本国からきたAZZURRIのサポーターと睨み合いが始まっている。一体何の為の分離入退場で、何のためのチケット記名方式なのか?
これに慌てたのは運営側で、警察を大挙導入してエクアドルのサポーターをぐるりと囲み、空いている(ガラガラ状態だったので・・・)真向かいのアウェイCURVA側に移動するよう説得を始めた。しかし、彼らは説得には応じず、前半が終わるまでは、AZZURRI側CURVAでエクアドルを必死に応援していた。
なんとも間の抜けた運営ではなかったか。。。
さて、気を取り直して試合開始。
この日のAZZURRIは伝統の3バックを捨て、鹿島戦でもテストした4バックの布陣を敷いてきた。
GKは勿論ブッフォン。ディフェンソーレは左から、マルディーニ・ネスタ・カンナバーロ・パヌッチ。ボランチに、トンマージ・ディビアッジョ。左サイドに、ドニ。右に、ザンブロッタ。アタッカンテに、ビエリ・トッティ。という「4−4−2」である。
これは「トッティシステム」ともいえる代物で、トラップのトッティに対する期待と信頼がここに表れているのだが、アレックスが「これまでFWとして結果を残してきたのだから・・・」と、トッティの代役を固辞した為の苦肉の策でもある。
本来ならば、前にビエリとピッポを置いて、トッティがトップ下に入るというのが理想なのだが、トッティの右足の状態を考えて、トッティの負担を減らすが為の「4−4−2」。W杯を7試合戦い抜くことを前提に考えるあたり、今大会のAZZURRIの本気がそこに見えた。
試合は序盤から一方的なAZZURRIペース。W杯初出場のエクアドルに落ち着かせる隙を与えない。
そして僅か前半の7分。
鋭い縦パスが右サイドをえぐったトッティに通り、この折り返しをビエリが落ち着いてゴールに叩き込む。先制だ!
シンプルに攻めるにはこうしろ!というお手本のようなビエリのゴールに、大歓声をあげながらも酔いしれるサポーターたち。
この後、前半27分にも、縦パス一本だけでエクアドルのディフェンス陣を切り裂き。ビエリが重戦車ドリブルから2点目を奪取。
あまりに強く、あまりにAZZURRIらしい点の獲り方。この時点で試合はほぼ決まってしまった。。。
ここからAZZURRIは決して無理はしなかった。4バックの連携の確認と足慣らしを兼ねて、ある程度攻めさせる狙いがあったのかもしれない。それはこの試合の「Ball Possession」が「イタリア40%<エクアドル60%」だった事からも窺い知る事ができる。
後半途中には、ドニ→ディリービオ。ディビアッジョ→ガットゥーゾ。と選手を替え、攻撃陣には手を加えず、中盤の連携強化から守備固めに入ってしまう。
こうなるとエクアドルはもうお手上げ状態で、得点の糸口を掴むことも出来ず時間だけが過ぎていく。エクアドルサポーターの熱の入ったサポートだけが、空しくドームに響いていた。。。
AZZURRIの勝利はほぼ確定的だ。
となると、あとはあの男の登場に期待が高まる。スタンド中の視線がそうであったように、AZZURRIのベンチ裏を見つめる時間が長くなる。
そして、残り時間が15分となったところで、遂にあの男がトラップに呼ばれた。
大歓声に包まれるドーム。誰もが登場の瞬間を待ち続けた、アレックスの勇姿がそこにあった。
トッティとの交代でピッチに踊りでたAZZURRIきってのファンタジスタは、少ない試合時間の中でも圧倒的な存在感を残し、大事なW杯初戦の締め括りに貢献した。
終わってみれば最もAZZURRIらしいゲームだったといえる。
W杯という長丁場の大会を最後まで勝ち抜くには、チームのピークを何処に持っていくのかが重要になる訳だが、この日のAZZURRIの戦いからはそのピークを決勝トーナメントの2回戦あたりにおいていたのではないかと感じた。これはW杯常連国の義務として、W杯を本気で狙ってきたことの証だろうし、今大会のチームはそれが出来るチームだったと思っていた分、今大会の結果は非常に残念だし悲しかった。。。
別のところで触れようかと思っているので、ここでは深く触れないが、この日の札幌ドームでのAZZURRIを見る限り、今大会のAZZURRIの結果は受け入れたくない事実だった。。。
そう考えると、今大会で唯一の勝利を得た試合を生で観ることが出来たことは、凄くラッキーだったんだなぁと思う。
この観戦日記の冒頭にも書いたが、W杯のような真剣勝負の舞台で躍動するAZZURRIを札幌で観れたことは永遠に忘れないだろう。
試合には出れなかったが、ピッポ・マルコ・モンテッラらの豪華アタッカンテ。ゲームプランで出場が左右されるが、実力は申し分ないココ、ザネッティらのチェントロカンピスタ。この後の試合で苦い思いをすることになる、ユリアーノ・マテラッツィらのディフェンソーレ。そして、最悪の事態に備えるアッピアーティ・トルドのポルティエーレ。
これら、登録23人すべての選手たち。
控えのBチームでも日本代表が勝つことは難しいだろうと思えるほど豪華なメンバーを揃えながら、Euro2000の悪夢を振り払うことは叶わなかった今回のW杯。
ただ、この日のAZZURRIは最高に輝いていた。最高に愛すべきAZZURRIだった。
必ずやEuro2004で、そしてW杯ドイツ大会で。。。

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