2002 FIFA WORLD CUP KOREA/JAPAN 観戦日記

Match.4 ドイツvsサウジアラビア
2002.6.1 札幌ドーム
「BEGINNIG」

 W杯開幕まであと500日!を記念して、白石美帆ちゃんをゲスト迎えて序幕された、大通り公園のカウントダウン・モニュメント。
 まだまだ先の話・・・と思っていたが、時は確実に流れていたようで、いよいよこの日を迎えた。
 「2002 FIFA WORLD CUP KOREA/JAPAN」の開幕である。
 韓国・ソウルスタジアムでの開幕戦では、前回の覇者フランスが新進気鋭のセネガルに敗れるという波乱が起こり、サッカーの怖さをまざまざと見せつけられた。。。

クリックすると拡大します♪ さて、今回の韓日共催のW杯の試合会場として、我が札幌のホームスタジアム「札幌ドーム」でも世界の強豪たちが熱い戦いを繰り広げることになっていた。
 開催試合は、6月1日「ドイツvsサウジアラビア」、6月3日「イタリアvsエクアドル」、6月7日「アルゼンチンvsイングランド」の3試合である。
 決勝トーナメントの試合が無い代わりに、3試合全てにシード国が登場するという、見所満載のカードが組まれた。
 とてもとても幸いなことに、ウチでは一次販売で、6月3日「イタリアvsエクアドル」と6月7日「アルゼンチンvsイングランド」のチケットが当たっていたので、個人的にはW杯初参戦の照準は6月3日のAZZURRI戦に合わせていた。
 だが、W杯開幕直前に海外発売分チケットの「大量売れ残り」が発覚。諸悪の根源と目される・英バイロム社が管理運営するネットでのチケット販売方式「ウィル・コール・セールス(以下、WCS)」にて、突如発売され始めた。この中には、もう完売!とされてきた日本開催分のチケットも含まれていて、5月25日。日本代表がW杯に向けての最終調整を行ったスウェーデン戦が開始される1時間ほど前に、大量に販売されはじめたのだ。
 実はこの日の前日にもまとまった枚数のチケットがWCSで販売されたこともあり、気にはしていた・・・。
 かくして、6月1日「ドイツvsサウジアラビア」のチケット奪取を目指し、WCSと戦うこと12時間あまり。もう夜も完全に空けきった頃、家族4人分のチケットをなんとか奪取。
 ただ、このWCSで確保したチケットを発券してくれるチケットセンター並びにKIOSKが札幌には未設置の為、JAWOC札幌支部に問い合わせをしてみたが、WCSを管理する英・バイロムとJAWOCは「基本的に無関係」ということでチケットの発券を拒否されてしまった。Yahoo!掲示板などでは、JAWOC札幌支部に発券の代行をして貰ったという記載もあったのだが、開催日まで時間があまりないこともあり、チケットの発券は横浜の兄夫婦にお任せし、なんとか無事チケットを入手することができた。
 こうして、思いがけず「ドイツvsサウジアラビア」の観戦が決まったのだった。。。

クリックすると拡大します♪ 2002年6月1日、土曜。
 札幌ドームに到着したのは、午後4時半をちょっと回ったところ。
 ただ、普段はコンサドーレ札幌のホームスタジアムである来馴れた札幌ドームも、この日ばかりはあまりにも勝手が違った。
 周辺道路に配備された凄まじい数の警官隊と警察車両。報道ものと思われる上空の無数のヘリたち。。。
 ドームへの入場に至っては、サポーターの隔離・分離入退場を狙ったフーリガン対策のおかげで予想以上に入場に手間取り、3つあるゲートを全て通過するのに軽く1時間以上かかってしまった。
 これでもし、あれだけ口やかましくアナウンスしていた「本人確認」が本当に実施されたいたら、更にどれだけの時間が上乗せされたことだろう。。。
 W杯ということでドーム内コンコースも普段とは違っていて、売店にはコーラとマクドナルド(だからといって、マックのハンバーガーは売ってなかった・・・)とバドワイザーのロゴがあるだけ。売店で売っている商品は全店共通で、和風・洋風弁当におにぎりにパンにおやつ。値段まで統一されていた。キリンカップを遥かに凌ぐ徹底ぶりである。
 グッズショップは大盛況。会場内限定商品ということも手伝って、もの凄い勢いで商品がなくなっていく。最初にひとまず、大会の公式プログラムだけを買って、後からもう一度覗いてみたが、めぼしい商品はほとんど売り切れだった。失敗した・・・。次回は、ドーム到着と同時に売店で勝負を懸けようと心に誓ったのだった。。。 
 そして遂にスタンドに到達となった訳だが、ここからの景色も普段とは若干違っていて、「つぼ八」や「AIR−DO(遂に破綻・・・)」はもちろん、「onちゃん」の巨大ダンマクなどはW杯用のものに姿を変え、各ブロックを仕切る金網フェンスはスタンドを完全に4つに分断している。メインスタンドの中央には赤い枠で仕切られたVIP席が鎮座していて、その上には海外プレス用の記者席がズラリと並んでいる。見慣れた大型ビジョンにはW杯ならではのビデオクリップが次々と流れ、会場BGMもW杯公式アルバムに収録されているものだけが流れている。
 だが、そんな中でも唯一、普段と変わらない佇まい見せていたものがある。
 眼下に広がる新緑のピッチだ。
 この日この時を迎える為に生まれた最高のピッチは、ホバリングステージと共に世界に驚きを以って伝えられたことだろう。
 
 やがて、まばらだったスタンドも徐々に埋まり始め、なんともいえない熱気に包まれだす。
 ドイツ、サウジ両国から遥々駆けつけた熱心なサポーターたちも、試合開始が待ちきれないといったふうで、単発的だが自国のコールを繰り返している。
 と、そこに、ドイツの選手たちがピッチの様子を窺いに登場!
 あまりに突然の登場にいささか面食らった感があったが、スタジアムは割れんばかりの拍手と大歓声に包まれる。真向かいのホームCURVAに陣取るドイツサポたちは、我らが英雄の登場に「ドイチェランド!ドイチェランド!」を大合唱。その声援に、あのカーンが軽く手を挙げて応えると、更にヒートアップするドイツサポたち。サポートのギアがいきなりトップに入ってしまったようだ。。。
 続いてサウジの選手たちもピッチに登場し、サウジから駆けつけたサポーターたちから熱狂的な声援が贈られると、それまでのスタジアムの雰囲気が一変した。
 国の威信を懸けた戦いが始まったのだ。
 舞台は整い役者は揃った。あとは試合開始の笛を待つだけだ。

クリックすると拡大します♪ と、その前に、W杯札幌開催を記念して、ちびっこたちのYOSAKOIの演舞があったのだが、その衣装というのが「真っ白なTシャツ姿」に統一されており、鳴子も持たないものだから、ほとんど普通の「お遊戯状態」になってしまっていた。組織委員会とこれらの衣装やら演舞の名称やらで随分と揉めたようだが、こんなに譲歩してまで、YOSAKOIと銘打つ必要があったのだろうかと、いささか不思議に思えた。。。
 このYOSAKOIの演舞が終わると、スタンドもかなり埋まってきて、熱気も自然と高まってくる。そしてこの熱気に当てられたように、ドイツサポを起点にウェーブが発生。大歓声に包まれながら、スタンドを2周、3周と巡っていく。かなり爽快な風景だ。試合を待つ気持ちにも拍車が掛かる。
 もう待ちきれない。。。
 その気持ちが頂点に達した時、札幌に新たな歴史が書き加えられた。
 スタジアムにANTHEMが響き渡る中、FAIR PLAY旗に続いて両国選手の入場。そして国家斉唱。
 大歓声と無数のストロボの閃光に包まれて、いよいよキックオフである。
 序盤から試合のペースを握ったのはドイツ。バラックとシュナイダーの、欧州CL決勝で惜しくもレアルに敗れたレバークーゼン・コンビがゲームを組み立てる。長身FWのヤンカーが的確にポストをこなし、左サイドからはツィーゲも積極的に攻め上がることで、サウジの最終ラインを翻弄していく。
 だが、サウジのGKは日本がこれまで何度も苦しめられた、アジア最高のGKデアイエ。そうそう点は入らないだろうと思っていたのだが・・・。
 前半20分、ドイツの新生クローゼに豪快なヘディングシュートを決められると、サウジ守備陣は一気に崩壊。
 25分にまたしてもクローゼ。40分にはバラック。前半ロスタイムにはヤンカーにゴールを許し、前半終了で「4−0」。ゲームを決めてしまった。
 まるで、欧州予選プレーオフでのウクライナ戦、前半15分で3ゴールを奪って試合を決めた、あの試合を彷彿とさせるドイツの猛攻だった。
 後半に入ってもドイツは攻撃の手を緩めず、70分にはこの試合ハットトリックとなるクローゼがゴール奪い、73分にはリンケ、84分には前主将のビアホフ、後半ロスタイムにはシュナイダーがFKを直接ゴールに叩き込み、終わってみれば「8−0」と、にわかには信じられないようなスコアとなっていた。
 この90分間でサウジの攻撃はというと、そのほとんどがカウンターという形だったのだが、シュート体勢に行く前に自ら潰れてみたり、パスミスを連発したりで、「Shots on Goal」も僅かに「1」と、カーンを慌てさせる場面はすら作れなかった。同じアジアの代表として、同情するというよりは、もう少しなんとかならなかったのか・・・という思い。実際、サウジと日本代表の力の差など、それほどあるとは思えない。10回やったら、3、4回は負けるのでは?と思う。それだけに、W杯の初戦という雰囲気と、早い段階に先制された事によるプランの崩壊がこの「8−0」という結果を生んだのだろうと思うと、「W杯には魔物が棲む」という言葉もあながち嘘ではなさそうだ・・・そう感じた。
 ドイツからみれば、味方が攻撃している時間帯がほとんどで、CKでもないのにドイツの最終ラインは敵陣に侵入したまま。自陣にはカーンが一人残され、かなり暇そうな状態。天と地ほどの実力差が相手同士
(たとえば、高校生vs小学生とか)の試合を除いて、ゲームには必ず攻め時・守り時の「勝負の波」があるものなのだが、この試合に限っては一瞬たりともサウジに攻め時の波を与えなかったのは、驚き以外のなにものでもない。
 試合中のドイツサポとサウジサポは当然ながら対照的で、試合の序盤こそ互角のサポートを繰り広げていたが、ドイツが得点を重ねる毎にドイツサポは勢いを増し、サウジサポは静かになっていった。勝ちを確信して勢いに乗ったドイツサポは何度もウェーブを試みたが、さすがに試合中とあって同調してくれる者は少なく、なかなか1周させることができない。ただ、サウジサポにしてみれば、自国の選手たちがボコボコにされているのに、ウェーブどころではなかったことだろう。そんな気分になれるはずもない。。。

クリックすると拡大します♪ こうして試合はドイツの一方的な形で幕を閉じ、「8−0」というちょっとお目にかかれないスコアのおかげもあって、W杯初観戦は大興奮のうちに終わりを告げたのだが、試合内容とはまったく関係がないところで、もの凄くハラがったことがひとつふたつ。
 まずは、今大会最大の失敗といっていい、空席問題だ。
 この日の入場者数は32,218人。札幌ドームの収容人数からすると、約10,000席もの空席があったことになる。
 TVに映し出された大量の空席を見て、スタジアムで観たくても観れなかった人たちは愕然としたことだろう。サッカーに興味がない人からすれば、「W杯ってのもたいした事ねぇんだな。空席だらけじゃなぇか」と思ったに違いない。
 凄くハラがたったし、同時に凄く悲しくもなった。。。
 これから札幌である残り2試合で空席は出して欲しくない!と切に願ったが、JAWOCが空席問題に対して具体的な対策を打ち出したのは、アルゼンチンvsイングランド戦の前日と、あまりに遅すぎた。開催が序盤に集中していた札幌が最も割を食った格好だった。。。
 続いて、退場の方法。
 あまりにいい加減な誘導のおかげで、大混雑しているドーム周辺をあっちこっちと散々たらい回しにされた挙句、元の列に並べと言われた。
 さすがにカチン!ときたので、運営委員と警察に猛抗議して、裏口から出して貰った。
 おかげで次回以降、こういった苦情はなかったことだろう。。。
 
クリックすると拡大します♪ さて、帰る道すがら冷静に試合を振り返ると、ドイツの強さだけが目立った試合とはいえ、実のところはちょっと違っていて、サウジの崩壊ぶりを置いておくと、ドイツの拙攻ぶりはちょっと気になっていた。確かに8点も獲ったのだから、これ以上何かを求めるのは酷なのだが、中盤での不必要なパスが目立つなど、やはりダイスラーを失った中盤はちょっと頼りなく感じた。バラックも頑張っては本調子には程遠いプレーに終始していたように見えたし、この試合は相手がサウジということで、ゴール前の制空権を掌握することで試合の流れを引き寄せることに成功したが、長身揃いの欧州勢と当たった場合はどうするのか?
 などという事を感じたのだが、今大会の結果はご存知のように、見事に準優勝。この日札幌ドームで、世界にその名を轟かせたクローゼは終盤にきて息切れしてしまったが、バラックが大事な場面を確実にモノにして、それをカーン率いる守備陣が守りきるという徹底した組織力を披露してくれた。次回の自国開催に向けて、若いドイツ代表はかけがえのない経験値を積み重ねることに成功したといえる。
 その若いドイツが波に乗るきっかけを掴んだのは、この日の札幌ドームでの試合だったに違いない。
 すべては一本の線で繋がっているのだから。 

 次回、ドイツは自国開催。
 今大会決勝戦への出場が叶わなかったバラックと、今大会自体涙を呑んで見送ったダイスラー、次回大会でのブラジルへの雪辱に燃えるカーンらの逆襲から目が離せそうにない。
 
 

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