第33節 水戸ホーリーホック戦
「HARD RAIN

 このまま帰っちゃうぞコノヤロウ!!
 って言いたくなる程、強烈な土砂降り。
 この荒れた天候の中、厚別に駆けつけたサポたちこそ、本物のTIFOSIたちだ。
 
 この日ばかりはびしょ濡れ覚悟でCURVAへと赴いた訳だが、開場を迎える頃には空は微妙な塩梅になり、
 試合開始直前には完全に止んだ。
 …ほとんど奇跡的。
 ただ、この天候のせいもあって、CURVAでさえ空席が目立つ有様。
 おそらくはここ数年で最も少ない入場者数だろうと思われた。
 このスカスカのスタジアムで選手たちに最高のパフォーマンスを見せろ!というのもどうかとは思うが、
 それでもホームである以上恥ずかしくないゲームは最低限見せて欲しい。
 自由席でも『1,800円』、SS指定席なら『4,000円』もの大金を投じている。
 恒例になってきた『ダンピング・チケット』で来場したサポもいるだろうが、サッカーは興行なのだから。
 キレイに勝てないのは分かっている。気持ちを見せろ!もうそれしかこのチームに『ウリ』はない…。

 くどいようだが、毎試合毎試合、猫の目のようにシステムとスタメンが入れ替わる札幌。
 ボールはいつものように繋がらない。フリーランもない。
 攻撃そのものに『意図』が感じられない。
 それでどうやって点獲る気よ?といぶかしみながら、CURVAのサポートは続いていた。
 最中心部だけは、いつもとほとんど同じパッションを放ち、高いテンションを維持している。
 こんなチーム状況だけに、モチベーションの維持が難しいといえば難しいのだが、
 とにかく腹から声を出していればゲームに入っていける。
 逆を言うと、ちょっとでも黙ってゲームに見入ってしまうと、あまりのていたらくぶりに引きずり込まれてサポートどころじゃなくなってしまう。
 つか、こんなチームの応援なんてしたくねえよ!って気分にさえさせてくれるのが、今の札幌の現実だ。
 
 後半に入る頃には、それまでなんとかもっていた空が再び泣き出す。
 大粒の雨というよりは霧雨に近い状態だが、これでも降り続けば当然濡れてくる。
 試合前に脱いだカッパを今更着る気にもならず、雨に打たれたままサポートを続行。 
 こうまでしてんだから勝てよ!の気持ちが益々強くなる(笑)
 後半も中盤に差し掛かるとベンチも動き、岳也→新居となぜかFWの入替えを敢行。
 おまけにこの日まずまずの動きを見せていた砂川を下げてビタウを投入。
 ???と首を傾げながらのサポートが続いたが、CURVAの目前でいきなりゲームが動いた。
 ゴール前で水戸ディフェンス陣に捕まったかに見えたアンドラが、奇跡的なタッチでボールをフィード。
 あ!!!
 と、誰もが『オフサイド!!!』と感じたポジションに飛び出した和波がこのボールを狡猾にゴールへと押し込んだ。
 んんっ???
 この喜びが『ぬか喜び』に終わるのか否か、まずは副審に視線を飛ばす。
 水戸の選手たちも当然ながら猛抗議。
 だが、副審の旗は揚がらない。
 『まぁいい!騒げ!』
 ってなもんで、歓喜の渦と化すCURVA。
 この天候にもめげずに、厚別に駆けつけたTIFOSIたちへの褒美みたいなもんだ。
 こうなったら是が非でも勝て!
 久々の勝利を目指して、猛然と加速するCURVAのサポート。
 ロスタイムに入ると雨が一層激しさを増し、完全にずぶ濡れモードに突入。
 頭からシャワーを浴びてるような感覚。
 ただ、視界の先には、水煙の中を勝利を求めて戦う札幌の選手たちの姿がある。
 いつもより3割…いや、5割増しにさえ感じられたロスタイム。
 『早く終われ!』
 CURVAの祈りは厚別の曇天に吸い込まれ、試合終了の笛が鳴る。
 久々に聞く勝利の雄叫び。
 言葉にならない歓声が厚別を覆いつくし、和波のウィニングランが始まった。
 昨年の入江。ナビスコカップの柏戦で決勝ゴールを決めた試合のようなキレはなかったが、最高の笑顔は相変わらずだった(笑)
 
 ゲーム内容は言葉で言い表せないほど最悪だったが、和波のゴールはその事実さえ消し去ってくれた。
 やはり、勝利は格別である。

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