
第1節 横浜FC戦
「Reborn」
「ドザザーッ!」っという轟音が鳴り響いた。
ドームの天井に残る残雪が雪崩のように滑り落ちる音だ。
『滑り落ちる』という、札幌にとってはなんとも象徴的な光景を見つめながら、今季は絶対、あんな風に滑り落ちたりはしない!そう誓った。
屈辱にまみれた2002シーズンを糧に、
ジョアン新監督が再構築した2003Versionの札幌が遂にそのベールを脱ぐ時がやってきた。
舞台は札幌ドーム。
雪国を本拠地とする札幌にとって、悲願ともいえるホーム開幕である。
当日の朝、なんとも落ち着かない気分を抱えたままドームに向かう。
毎年、開幕戦に足しげく通うTIFOSIたちもきっと、毎年こんないいようのない緊張感を感じたに違いない。
満足な予習もできず、大事な試験の当日を迎えてしまったような、そんな微妙な感覚を味わえるのもドームの恩恵によるものだ。
ドームに到着すると、そこにはすでに熱いTIFOSIたちの熱気が渦巻いていた。
そこかしこで、「今年もよろしくお願いします!」だったり、
「あけましておめでとうございます(笑)」といった挨拶が飛び交い、開幕らしいムードを更に盛り上げてくれる。
春の日差しは思ったより暖かく、ドームに着いた頃は「意外と寒くないかも!?」なんて余裕もあったが、
その日差しが雲に遮られると途端に寒くなる。小一時間も過ぎた頃には、身体が冷え切った。
『USマフラー2003Version』を首に巻きつけて寒さをしのぐ。本格的な春はまだ遠いようだ…。
それでもドームに押し寄せるTIFOSIの波はとどまる処を知らず、歩道橋を伝って下の広場へとその列が伸びていく。
『早く開けろ!』
今季からドーム開催時の開場時間が、試合開始の3時間前から2時間前に変更になっている。
この1時間がなんとも恨めしかった。
ただ、この日ばかりはHFC側も動いてくれたようで、開場30分前には入場ゲート前まで列が移動し、ゲートが開きそうな気配が漂う。
『でも、いっつも結局は定時に開くんだよな』
この思わせぶりな対応にはすっかり『狼少年』になっている僕らは、仲間内でそう呟くと今季の新曲の練習を開始。
静か〜に太鼓を叩きながらリズムの確認をしていると、ゲートが急に慌しくなり、なんと『きっかり15分前』に開場が始まった←久々の快挙
寒さから一瞬でも早く逃れたい衝動も手伝って!?、猛烈な勢いでドームに飲み込まれていくTIFOSIたち。
1月末にファン感謝デーで訪れてるからそれほど久し振りという感じもしないが、
やはりアリーナに『ホバリングステージ』が引き込まれた姿は感慨深い。
W杯でベストピッチ賞にも輝いたドーム自慢の緑の芝が、
おそらくは日照不足から所々黄色く変色してしまっている姿はちょっと痛々しい感じもしたが、
この日の為に準備を進めてくれたグラウンドキーパーの方々と、春先に『雪かき』をしてくれたTIFOSIの方々には感謝の気持ちで一杯になる。
そして、いつものCURVA中心部に腰を落ち着かせたのも束の間、猛烈に腹が減っていたので買い出しに出撃。寒いと腹って減りますよね?
何にしようかと迷った挙句、ここはやはり『ご飯もの』ということで、牛カルビ丼にケテーイ!
これまでは、割りとのんびり売店前のコンコースで食事をしたものだが、
今季からはその時間も1時間少ない訳で、なんだかバタバタとご飯をかっ込む感じ。
牛カルビ丼自体はなかなか美味かったのだが、なんだか食事のペースが掴めない!?
半ば慌てるようにスタンドに戻ると、『US Tシャツ2003Version』が届いていたのでこちらも買う。
が、このとき既に2002VersionのTシャツを着ていたので、着るのは次節以降にした。
スタジアムに鳴り響くDJ(誰だったかな?)のトークとBGM。
ゲストもいたような気がするが、このバタバタ感のせいか、いまいちスタジアムの雰囲気に乗っていけない。
そうこうしているうちに、もう試合開始まで1時間を切っている。
このバタバタした感じのおかげで妙な緊張感は吹っ飛んだが、徐々に赤黒に埋まっていくスタンドを眺めていると、
『いよいよ始まるんだな』という思いがこみ上げてくる。
試合開始30分前。
これまでなら『ディド』が真っ先にピッチに姿を現し、喉慣らし?の『ディードーッ!』のコールが鳴り響くのだが、
GKコーチがマザロッピに代わった今季からはそれもない。
DIVISIONが変わったのがもちろん最大の変更点だが、こんなちょっとした違いも含めると、随分といろんな面で変更点があるように感じられた。
『Reborn 〜 全てが生まれ変わり、その全てが良い方向に向かう事を信じたい
〜』
メインスタンドの上部を除くと結構な埋まり具合を見せたスタジアム。
CURVAの最前列で打ち振られるビッグフラッグと既にヒートアップ気味のサポート。
眼下では『新生ジョアン札幌2003Version』がピッチ練習に汗を流している。
『もう待ちきれないっ!』
というCURVAの熱気が期待に拍車をかけ、それがサポートにうまい具合に乗っかってくれる。
CURVAの雰囲気は最高だった。
選手入場時には真っ赤なボードでスタンドを埋め、多少なりとも不安を抱える選手たちの士気を高めるのに一役買ったことだろう。
ただ、AWAY CURVAで横浜FCサポが広げようとしたビッグフラッグ。
これはサイズが大きすぎて、このフラッグに覆い被されそうになった札幌サポたちがそれを必死に食い止めようとして、
横浜FCサポと激しいバトルを展開していた。
ビッグフラッグを広げるなら、せめてそれぐらいのサポは連れてきて欲しいと思う。
あと、見事なまでの分裂応援は見ていてなんだか痛々しい…。
そんな異様なテンションの中、試合開始の笛がなった。
CURVAにいた誰もが札幌の優位を信じていたに違いない。
たとえ札幌にとって鬼門ともいえる「4−4−2」であろうとも、勝利は揺るがないものだと。
だが、試合開始直後から、4バックに綻びが見え隠れしはじめる。
右サイドバックの選手たちの負傷離脱が相次ぎ、そこには左サイドハーフからコンバートされた和波が収まっていたのだが、
横浜FCはそこをピンポイントで狙ってきたのだ。
もともと守備にはちょっと不安な面のある和波だけに、序盤から右サイドを崩されて横浜FCにペースを握られてしまう。
そして僅か前半3分。
まだ、試合開始の余韻が残っているような時間帯で、右からのCKであっさり失点。
中央には高さのある森と西澤がいるにも拘らず、あまりにもあっさりとマークを外されての失点だ。
『セットプレーからさんざん失点を繰り返した昨季の教訓が生かされていないのか?』
失態といってもいい失点劇に、一瞬言葉を失うCURVA。軽い怒りさえ覚える。
それでも気を取り直してサポートを再開すると、僅かその2分後。
ゴール前のこぼれダマを、砂川が強烈なミドルで横浜FCゴールに叩き込んだ。
あまりに豪快に決まったゴールに狂喜乱舞のCURVA。
獲られたら獲りかえす。
昨季最終戦の広島戦を彷彿とさせる展開に確かな手応えを感じ、一層サポートに熱が入るCURVA。
ただ、どうも「4−4−2」がしっくりこない。ゲームが落ち着かない。
洋平のパントキックで全選手が一斉に駆け上がる姿は後ろから見ていると痛快ですらあるが、今季あれだけ期待された中盤がどうにも怪しい。
問題はどうやら今野とベットの連携不足からくるボランチと2列目のバランス感覚の欠如だろう。
また、前線にボールをキープできる選手がいなかったのも問題だといえる。
(さて、こういった戦術なんかの解説←『そんな偉そうなもんじゃないが(笑)』は、
今季から『GAME REPORT SUPPLEMENT』に移植するので、よろしければこちらにもお付き合い下さい。その分、観戦日記をスリム化します。)
4バックの醍醐味であるサイド攻撃は、健作が横浜FCの○ゲ(ファンデルファンだっけ?)にマークされて封じ込まれてしまったせいで、
和波の右からのクロスに頼らざる得なくなった訳だが、あれはちょっと精度が低すぎた。もっと精進です。
ただ、相対的にみれば、やはり「4−4−2」はおもしろい。
殴られたら殴り返す!的なスタイルに陥りやすいシステムだけに、あとはどれだけJ2用にモデファイするのかがジョアンの腕の見せ所だろう。
で、試合の方はというと、これ以降はどうでもいいんで割愛…って訳にもいかないんで、続けると、前半32分にFKからの流れで城に得点を許す。
またしてもセットプレー絡みだ。
洋平が必死のセービングをしたにも拘らず、バーに当たって垂直に落下したボールには強烈なバックスピンが掛かっていたようで、
ボールが奇跡的な軌道を描くという不運にも見舞われたが、『またしても』という感は否めない。
ここらあたりから、どうもきな臭いムードが漂いだしたCURVA。
試合前から続いていた熱気が嘘のように冷め、『笛吹けど踊らず』な状態。
試合もまさしくそんな展開で、後半に入るとFWの新居を森山に代えたり、和波に代えてま゛を投入してみたりと手は打った。
それに伴って森下が右のサイドバックに納まったりと、ジョアン新監督もなんとか状況を打開しようと試みたようだが、
選手たちからは『なんとかしてやろうっ!』という気概が感じられない。
こうなると益々冷え込むCURVA。
完全に自陣に引き篭もり、スペースを無くしてカウンターを狙ってきた横浜FCの戦術に手も足も出せないような状況。
引いた相手には、ドリブル突破からのワンツーであったり、大胆なサイドチェンジを敢行したりと、積極的に揺さぶらなければいけないのに、
試合時間が減っていくのに比例して札幌の選手達の運動量も減っていった。
後半36分に横浜FCにまんまとカウンターを喰らって3失点目。これで勝負は決していた。
残りの時間、砂川→中尾という最後のカードを切り、見た目にはよくわからないシステムを決行して最後に勝負に出たようだが、
そんな付け焼刃のシステムが機能する訳もなく、結局は攻め手を失った。
最終ラインで横パスを連発したり、中央をドリブルで駆け上がる横浜FCの選手にチェックに行かない札幌の選手たちに、
容赦のない野次と罵声が飛び始まる。
CURVAはもう死んでいた。
『どんな時でも最後の一瞬までサポートしろよ!』
という意見もあるとは思うが、こちらが無条件にサポートしたくなるような試合がピッチ上で展開されないと、正直キツイものもある…。
なんの根拠もなく、ただ盲目に勝利を確信していきらいはあるが、期待が大きかった分、
その反動で蓄積されたフラストレーションはこの時すでに、計り知れない程膨らんでいたようだ。
試合はこのまま「1−3」で終わり、バックスタンドを訪れた新チームには、『いつものように』まばらな拍手が贈られた。
CURVAもおそらくは同じような状態なんだろうと思っていたら、予想もしていなかったような巨大なブーイングが選手に降り注いだ。
おそらく史上最強・最大のブーイングだった。
さすがにこれには選手たちも戸惑いの表情を浮かべていたように見えたが、それだけ今季は『期待している=勝利を待っている』ということだ。
まだまだ1/44が終わったに過ぎない。
そう言ってしまえばそれまでだが、『昇らない太陽はない』それだけを信じて戦った昨季の苦い記憶と、
心にいまだ残る傷跡が、おいそれと『まだ1/44』という気持にさせてはくれなかったのだろう。
ただ、あれだけの音量のブーイング。
試合中も思うんだが、『ブーイング>サポート』っていうのはちょっと。
あれだけデカイ声だせるなら、試合中もっと声だして欲しいなぁ…と思う。
クラブ創設以来、悲願だったホーム開幕は選手にとっても、TIFOSIたちにとっても、苦しく辛い記憶として残る。
ただ、進むべき道の先には皆が求めるものがあると信じて、戦っていこうと思う。
『まだ1/44』とはいわないが、まだ43試合残っている…。
※このページは画面サイズ『1024x768』で最適化されています。『800x600』だと右端にある『何か』が見えなかったり…。

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