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2ndステージ第6節 ジュビロ磐田戦
「GOOD LOSER」
  

 「GOOD LOSER」という言葉がある。直訳すれば「負けっぷりのいい人」ということになり、サッカーというスポーツにおいては、その試合を観た観客を「最高に満足させた」ゲームを展開した「敗者チーム」に贈られる言葉である。
 記憶に新しい処では、先のW杯での3位決定戦「トルコvs韓国」の試合がトルコの勝利で終わった時、今やカリスマアナとなった倉敷アナが、3位決定戦不要論を吹き飛ばすかのようなアグレッシブなサッカーを展開しながらも、最後は力尽きた韓国チームに対して、「まさに、GOOD LOSERですね・・・」とコメントしたことだろうか。
 ただ、この「GOOD LOSER」という言葉。
 個人的にはあまり好きな言葉ではなかった。
 この日の試合が終わるまでは。。。

画像集に移動。 2ndステージ未だ勝利がなく、この試合で負けるとヤバイぞ!という試合もことごとく落としてきた。
 もう、相手がどうのこうのは関係なく、すべての試合に勝たなければ、J1残留の目はない。
 「REAL CHAMP」の磐田にさえ、勝つことが要求される状況。
 可能性はほとんど無い・・・のは分っている。それでも、もし、今日この試合に勝つことができれば、J1残留という奇跡が起こるかもしれない。
 磐田に勝てるのなら、この後、何が起こるか分らない!
 浦和戦で完膚なきまでに叩き潰され、随分と冷えてしまった心だが、僅かに残った微かな希望が、再びTIFOSIたちをCURVAに掻き立てていた。

 「ミッシェル・プラティニの言葉に、こういうのがあります。サッカーというスポーツは、最も強いチームは最も弱いチームに勝てないものである・・・。」
 この日のCURVAは、USのコールリーダーのIくんのこんな言葉で幕をあけた。
 しかもその直後、ハリセンで頭をひっ叩かれて「IWATAを叩くってことで・・・」と、たたみかけるようにネタ披露。
 大爆笑のCURVA。
 この一撃で肩の力が抜けたのか、CURVAの雰囲気は上々で、サポートは好調な滑り出しを見せた。
 これに引っ張られたのか、序盤は札幌がペースを握る。
 出場停止の今野の穴をどう埋めるのかがこの試合のキーポイントだと思っていたのだが、この日は「森下・平間(以下、ま゛)・オグ」の変則トリプルボランチを採用。これは昨季、野々村が負傷離脱中に実践された、「森下・BIJU・山瀬」の変則トリプルボランチとほぼ同じ形態だ。3人のうち一人が引き気味で守り、残りの二人が攻撃的にポジションを執る。この日は、森下が引いて、オグとま゛が攻撃的にいったのだが、ま゛が大当たりだった。
画像集に移動。 積極的な攻め上がりを幾度となく仕掛け、磐田の守備陣も捕まえ切れない時間が続く。そうなると、当然中盤のバランスが崩れ、マークも甘くなる。
 ま゛の絶妙なシュートは惜しくもバーに嫌われ、オグのシュートはキーパーの正面をつく。
 ま゛を捕まえきれない磐田は慌てている。この時間帯になんとしても点が欲しい!
 最高のノリを見せる札幌CURVA。前回の浦和戦のていたらくがウソのようだ。
 やはり、32416人ものサポーターの熱気が渦巻くスタジアムはちょっと違うらしい。。。
 それでもやはり、磐田は王者らしく、最後の一線は越えさせてくれない。スタメン11人中8人までもが代表暦ありと、札幌からすれば冗談のような相手なのだ。
 まずい、このまま後半に突入すると、磐田は絶対に修正してくる!
 不安は的中した。
 後半に入ると、磐田は猛反撃を開始。
 ま゛も前半のような仕事はほとんどさせて貰えない。というより、出場機会が少なくスタミナ面に不安がある、ま゛が早々とガス欠になったようにも見えたが。。。
 タカ・ゴンのツートップが容赦なく札幌のゴールへ突進してくる場面が多くなり、防戦一方の苦しい展開となるが、ここから札幌は脅威の粘りを見せた。
 洋平がスーパーセーブを連発し、それに呼応するかのように、札幌の選手が一丸となってゴールに鍵をかける。
 1本。また1本と、磐田のシュートが札幌ゴールを襲い、CURVAにはその度に緊張が走る。
 1点獲られたら終わる。
 誰もがそう感じていたようで、一瞬たりとも気の抜けないサポートが展開された。
 ありったけのデカイ声で歌い、思いっきり手拍子を打ち鳴らし、足がばかになるまでサルトする。
 すると、CURVAに久し振りにあの一体感が戻ってきた。札幌の勝利以外なにも考えない、純粋で強烈なサポートだ。
 そしてCURVAの集中力が極限に達した時、ピッチ上で戦う選手たちの気持ちとCURVAで戦うTIFOSIたちの気持ちがシンクロした。。。
 
 ゆけ札幌!勝利信じ!最後まで戦え!

画像集に移動。 札幌は磐田の猛攻に晒されながらも、堀井→ジャジ、ま゛→バッキー、酒井→西田と、積極的に交代のカードを切っていく。
 チームの集中力を維持させる意味では、続け様の交代は得策とはいえないが、それ以上に磐田の猛攻に「耐える」という作業は、選手を消耗させていたのだろう。
 総力戦を挑んでいった札幌に対して、磐田はこの後もシュートの雨を降らせて強引にゲームを決めに掛かったが、札幌の選手たちはCURVAのバックアップを背に必死の抵抗を見せた。
 恐ろしく濃密な90分が過ぎ去り、延長へ突入していく。
 ここまで、延長をことごとく落としてきた札幌にとって、あまり・・・といか、ほとんどいいイメージがない延長。
 そんな不安を打ち消すかのように、「もっと中央に集まりましょう!」という掛け声の下、CURVAの最中心部は猫の子一匹通らないほどの強烈な密集地帯と化した。
 延長開始を待つまでの間、一瞬たりとも途切れる事のないサポートが始まる。
 ここで繰り広げられたサポートは、これまでのドーム開催試合の中では最高だった!と言ってもいい。
 「歌・手拍子・サルト」が三位一体となって、スタジアムを揺るがす。思わず鳥肌が立った。また、ドームを初めてホームスタジアムだと感じた瞬間でもあった。
 厚別にはあって、ドームにはなかったもの。
 降格危機という極限状況と、磐田というJ最強の敵。それに、3万超のスタジアムからほとばしる熱気がMIXされることで、ようやく姿を現した「俺達のホームスタジアム」だ。
 厚別CURVAの雰囲気を遂にドームでも再現できた。という、この感覚に一秒でも永く身を任せていたかったのだが、終わりはあまりにも突然やってきた。
 延長前半6分。ゴール前のこぼれダマに、僅か一瞬フリーになった中山がなんの躊躇いもなく右足を振り抜いた。
 最高の調和を見せていた札幌CURVAが想い描いた夢も希望をも一瞬にして打ち砕く、あまりに豪快なゴンゴールだった。。。

 ・・・負けた。

画像集に移動。 相手は「REAL CHAMP」の磐田だ。正直勝てるとは思ってかなったし、むしろ磐田相手に90分スコアレスで耐えた事だけでも賞賛に価するものだと思う。
 甘いか?
 やはり、勝たなければいけない試合だったのだろうか。
 確かに後半も半ばを過ぎた頃からは、この雰囲気、この流れ、この勢いに乗って、磐田を撃沈して欲しい、そう願った。厚別CURVAをようやくドームで再現して見せたドームCURVAの共通意識も勝利しか求めていなかったように思う。
 札幌の今の状況を考えれば、「好ゲーム」はいらない。どんなに泥臭かろうが「勝ち」にこだわるべきだったのだろう。
 そんなことは分っていた。 
 それでも・・・試合後、気がついたら札幌の選手たちに向かって拍手をしている自分がいた。
 良くやった。そう思った。
 札幌はまだ死んでない。選手もTIFOSIたちも。
 まだまだやれる。最後に笑うのは俺たちだ!そう信じられた。

 「GOOD LOSER」
 ちょっとだけ、この言葉が好きになった。
 そしていつかは、磐田を「GOOD LOSER」と呼んでやりたい。。。

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