〜観戦日記2001〜
第14節 7月14日 アビスパ福岡戦 on TV
「迷宮のなかで見つけたもの」
「発想の転換が必要かも・・・」
ジェフ戦での惨敗後、岡田監督はそう語った。この言葉を聞いた時、僕は、コンサは「深い迷宮」に迷い込んでしまった・・・。そう感じた。
試合に負ける事は決して珍しいことではない。大事なのは、その敗戦から「何を学び、次にどう活かすのか」ということ。だから試合後の会見で、監督・選手から「今日はディフェンスラインを下げすぎた・・・」とか「選手起用に問題があった・・・」など、具体的な問題点が発せられるのはまだ「救いがある」。次への課題がはっきりしているから。だが、今回の場合「発想の転換」という、究極に抽象的な言葉が飛び出してしまった。
そも、「発想」とは何を意味するのか考えた。そして「発想=基本的戦術」だろう、という結論に達した。つまり、ジェフ戦で「基本的戦術」が崩壊してしまったということなのだ。コンサの「基本的戦術」というのは、端的にいうと「堅守速攻(守りを固め、素早く攻める)」である。その「堅守」が破綻してしまっては、「速攻」など望むべくもない。それは、開幕から第6節・G大阪戦までの失点が「3」だったのに対し、第7節・清水戦から第13節・ジェフ戦迄で「17」に激増した事実が如実に物語っている。
それを踏まえた上での「発想の転換=基本戦術の転換」発言なのだ。基本戦術を転換するということは、これまで築き上げてきた戦い方を「捨てる」事を意味する。そしてこれは、昨季J2を制した戦い方は「J1では通用しない」ということをも意味してしまう・・・。
そして次の福岡戦まではインターバルなしの1週間しかない。その限られた時間の中で、「基本的戦術」に手を入れようというのだから、これは、深い迷宮のなかで「鍵と出口を探す」ようなもの。
何をどうすれば、どうなるか?その答えはどこにもなく、思考錯誤を繰り返しながら、疑心暗鬼に耐え続けなくてはならないという、過酷な挑戦。
それに加えて、福岡はコンサにとっての「天敵」。J2降格の「引導を渡された相手」というのは言うまでもなく、この日の試合場となる「博多の森球技場」で我がコンサは1勝どころか1点すら挙げたことがないのだ。
考えれば考えるほど、胃が痛くなるような1週間だった。ジェフ戦で弱りきった身体には、正直キツすぎでした・・・。
そして試合当日。この日は完全にTV中継がない。地上波・BS・スカパー・そしてレッズ戦でお世話になったデジタルBS・すべてダメ。ラジオではFMアップルが「熱狂コンサライブ」を中継してくれるが、僕のウチでは聞こえない(泣)。しかも、BSでのレッズ戦(伸ちゃんの駒場ファイナル)も観たかったから、TV映像は深夜の録画中継まで我慢して、レッズ戦観てました・・・。
ということで、ここからは「録画中継観戦日記」となりますので、どうぞよろしく。

レッズ戦の中継内・速報21・スーパーサッカーで、試合結果こそわかっていたものの、録画中継を見ることによって、遂に岡田監督の語った「発想の転換」の全貌が明らかになる瞬間がきた。
新聞報道はあてにならないから、いつもはあまり信用していないが、この日のスタメンはほぼ新聞報道のとうりだった。
トップ下のミルを怪我以外では始めてスタメンから外し、ヤマを起用。左サイドには韋駄天・和波を起用して、コンサとしては「攻撃的」な布陣を敷いた。スタメン選手を見る限り、これのどこが「発想の転換=基本的戦術の転換」なのかと思うかもしれないが、ミルを外したことが「すごいこと」なんです。というのも、昨季のミルの出場率は驚異の「99.84%」を誇り、コンサにとっては「なくてはならない存在」だった。今季に入り、ゆづき(昨季のアシスト王。左サイドでもいいから、もっと出場機会があればいいのだが・・・)とヤマがトップ下に入った為、今季は慣れない左サイドハーフへコンバート。負傷復帰後は慣れない左サイドから、再びトップ下へと活躍の場を移していたが、そのミルをスタメンから外したのだから、この意味はとてつもなく大きい。
昨季J2を制したメンバーにあえてメスを入れることで、他の選手へ「発想の転換」を促したのだろう・・・。
そしてTVには、選手たちの入場シーンが映った。みな気合いの入ったいい顔をしている。
天候は薄曇りながらも気温は28℃を越え、湿度も80%と最悪のコンディション。だが、そんなことは意にも介さない、確固とした自身に満ちているようにも見えた。これが「深い迷宮」に迷い込んでしまったチームの表情かと、正直目を疑うほど。
「これはイケル!」
そう感じさせてくれるには、充分過ぎるものだった。
それとTVから聞こえる迫力満点の「コンサコール」。見事に統率され、現地サポーターの熱い想いがブラウン越しにも伝わってくる。
そして試合開始の笛が鳴る。
序盤から激しいボールの奪い合いを見せる両チーム。コンサの中盤はとにかくボランチの二人が身体を張り、これにトップ下のヤマも積極的に守備に加わり、DF陣を楽にさせていた。また、この試合で「J通算200試合出場」の洋平も、練習で腰を痛めたとは思えない鉄人ぶりで、的確にポジショニングの指示を送っていたようだった。
そして前半の7分。洋平の大きなフィードを、播ちゃんが左サイドで一瞬キープし、するするっとあがった和波に絶妙なパスを送る。そして和波は自慢の韋駄天ぶりをいかんなく発揮して左サイドを切り裂くと、ゴール中央へスピードのあるセンタリングを放り込んだ。これに飛び込んだのは、ヤマ。だったのだが、あと一歩及ばず(これがスルーだとしたら神業!)、ボールはフリーの俺王へと渡り、名古屋戦以来の先取点を奪う。しかも、これだけキレイに相手DF陣を崩してのゴールは何試合ぶりだ?と思わせてくれたほど、キレイなゴールだった。
実はこのゴール。福岡のDFラインが浅いのを見越して、スピードのある和波と、FWもこなすヤマをトップ下に起用した、岡田采配の賜物なのである。それに見事に応えた、和波とヤマに拍手!
待望の先取点を奪ったコンサは、この時点から「引き気味」となり、ここまで課題とされてきた「堅守」の復活を目指した。
福岡も3連敗中と波に乗れない状態だけに、安定したコンサDF陣を崩しきることができず、苦し紛れのシュートが何本も宇宙開発に翔び立っていった。
こうなると俄然勢い良く聞こえてくるコンサコール。前半途中から降り出した雨をものともしない、圧倒的な声量で選手を鼓舞している。
前半はこの後、両チーム無得点のまま終了。コンサに至っては、チャンスらしいチャンスもなく、攻められっぱなしの前半。それでも何故か、安心して見ていられるほど、この日のディフェンスは安定していた。
後半に入っても、基本的に押されっぱなしのコンサ。
でもよくよく考えると、こういった試合って、昨季はすごく多かった。アウェーなんて大抵このパターンで、守って守ってエメ(懐かしい・・・)が1点獲ってくれて勝つ!みたいな。ここ最近は、それができないから勝てなくなってしまっていた。
だが、この日は違った。
「守る」という意識を高いレベルで維持し、とにかく必死にボールを追う。あまり「かっこいい」サッカーではないが、良くも悪くもこれが「コンサ流」なのだ。
岡田監督が昨季、チームコンセプトに掲げたキーワードは、「ENJOY」・「THINKNG OF FOOTBALL」・「AGGREESSIVE PLAY」の3つ。そして今季はJ1を戦い抜く上で「IMPROVE=進歩」が加わった。
「IMPROVE=進歩」。進歩という言葉は簡単だが、問題なのは進歩の「方向性」だと思う。よくJ1とJ2はサッカーの「質」が違うと言われる。簡単にいうとJ1は「お客を楽しませる、エンタテイメント色豊かなサッカー」で、J2は「とことん勝ちにこだわった、ストイックなサッカー」だということ。
そう考えると、我がコンサもJ1に復帰し、昨季から一歩「IMPROVE」したサッカーを目指したのだが、どうやらそれが「裏目」に出てしまったようだ。開幕2連勝と、華々しいスタートを切ってしまった為に、「IMPROVE」の「方向性」が、どうやら「お客を楽しませる、エンタテイメント色豊かなサッカー」に向いてしまった気がする。コンサの現有戦力と戦術を考えれば、昨季の「堅守速攻」+アルファ、という「方向性」でいかなけらばならなかったのに・・・。
だが、ジェフに惨敗し、監督以下選手全員が自分達のサッカーを見つめ直す必要性に迫られたことによって、「発想の転換=基本戦術の転換」という選択を余儀なくされた。
・・・そしてこの日、福岡には自分達のサッカーを取り戻した、コンサがいた。

後半に入っても、1stステージ・ホーム最終戦で4連敗という屈辱は味わいたくない福岡に「押し込まれる」時間帯が続いたが、コンサも必死のディフェンスでこれを迎え撃つ。やがて雨脚が強くなると、熱を帯びた身体には格好なクールダウンとなり、あの男が目を醒ました。
雨男=KING・WILL。
後半33分だった。右サイドを駆け上がった俺王は、センタリングの標的となる味方選手を探す。当然、相手DFはそのパスコースを塞ごうと、俺王本人よりも中央付近に意識が向けられ、俺王へのチェックが一瞬遅れた。これを見逃さなかった俺王は、相手キーパーが気持ち前気味にポジションしているのさえ見極め、左足で豪快なバナナシュートをジェフゴールに突き刺した。もいっかい、AFC月間最優秀ゴール賞くれ!
この後福岡の怒涛の攻撃を浴び、何度か危ない場面もあったが、これまた福岡の拙攻に助けられて得点は許さない。その中で、コンサは何度かきれいなカウンターを披露、ゴールまであと一歩という場面も演出した。播ちゃんのゴールポストを掠めるようなシュート。また、その播ちゃんに代わって出場の大黒も右サイドから、枠には飛ばなかったものの豪快なミドルを放つなど、切れ味は鋭かった。
この播ちゃんから大黒への交代も、今まではあまり例のないもので、トップを下げてトップ下を入れる。つまり中盤の数を増やしたかったのだろうが、これはヤマも大黒もFWをこなせるからこその采配であり、見ようによってはWユース日本代表の「1トップ2シャドー」に似ているシステムである。
これも「発想の転換」の一端だろう。小さな事だが、これも確実にコンサの新たなスタイルの足がかりとなるに違いない。
そして試合は、最後の最後まで攻められ続けながらも集中力を切らさず、チーム一丸となって耐えに耐えたコンサが、久し振りに、ホントに久し振りに「0封」で勝利を収めた。その瞬間、TVからもはっきりとコンササポの大歓声が聞こえ、画面に映る選手たちの表情も、曇りっぱなしだった空が今、晴れた!というような、最高に晴れやかで満足そうなものばかり。
実に63日ぶりの勝利。苦しんで、苦しみ抜いた果てに手にした勝利。やはりチームにとっての不安を取り除くには、勝利しかないのだ。
そういった意味でこの試合は、「堅守速攻」というコンサのカラーを思い出せた「最高の試合」だった。
試合内容的には、終盤ちょっと押し込まれすぎてDF陣が崩れかかった場面が多く、まだ修正の余地はたくさんあるが、そんなことより、この試合はどんな形でも「勝つ事」が大事だったから、選手には及第点をあげたい。
コンサはこれで「発想の転換」という難題を突きつけられた、今季最初のヤマ場と凌ぎきった。僕らのようなサポにしても、ジェフ戦後から続いていた「脱力状態」からようやく脱することができたし、7/21のドーム開幕にもいい弾みがついた。
勝利に酔いしれる。まさにそんな夜だった・・・。
彼らは「迷宮の中」で確かに「鍵」を見つけたが、「出口」はまだ見つかっていない。
まだまだ冒険は続くだろうが、いつの日か「出口」を見つける頃には、コンサはひと周り成長していることだろう。そしてその先の「J1残留」というお宝を手にするに違いない・・・。
・・・今回の観戦日記を熱烈なリクエストをしてくれた、播戸らんど♪の「小梅さん」と、この観戦日記を読んでくれる皆さんに捧げます。

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