観戦日記2001〜
第9節 5月12日 鹿島アントラーズ戦
「記録と記憶に残る試合」

 聖地厚別に「赤黒の勇者」が凱旋。
 そして、決戦の日・・・。

 待ちに待った(ホントに待った・・・)厚別開幕。98シーズン以来3年振りのJ1の舞台で、しかも相手は昨年の3冠王者「鹿島アントラーズ」。予期していたとはいえ、この日のチケットは発売初日から「売り切れた!」、「まだ残ってる!」という情報が錯綜し、ちょっとしたパニック状態。結果的にもわずか5日で「全席種完売」となり、この日のチケットを買いそびれたサポも多数いたのではないだろうか・・・。
 「う〜ん。このカードは札幌ドームでやりたかった・・・」そう思う。
 さて、我がコンサはここまで8節を消化して「ナント5位!」。ただ、このGW3連戦では、初戦のガンバこそ函館で撃破したものの、2戦目の清水には「屈辱の5失点」を食らって惨敗。中二日で迎えた3戦目のFC東京にも「2−1」と惜敗し、今季初の連敗。
 5失点食らった後のFC東京戦が「ホーム」じゃなかったのが、とにかく悔やまれる。
 (この辺は後日、リーグ戦回顧第1弾(仮)としてコラムにアップするつもり・・・。)

 「何時から並ぶ?」
 すっかり試合前にはお決まりになった言葉。開場2時間前ぐらいから並んでいた時代が懐かしい・・・。
 コンサ系のあちこちの掲示板で「徹夜します」の文字が踊り、試合前から異常な盛りあがりを見せたこの試合。僕らも、去年7/29レッズ戦以来の早朝出撃にするか徹夜組に加わるかで悩んだものの、結局は「初の徹夜組」に決定。しかも担当は「おりりん&くっちゃん」という、ちびっこながらOSCの代表としてはお恥かしい限り・・・。
 「おりりん&くっちゃん」は前日の17時半頃から並びはじめて(おりりんの愉快な徹夜日記はこちら)くれて、僕ら夫婦は20時過ぎに差し入れ持参で合流。その時の厚別といったら、テントあり、寝袋あり、コンロありと、さながら野営集団と化し、厚別開幕を待ち侘びた熱きコンササポの熱気に包まれていた。
 ここで「おりりん&くっちゃん」は一旦お家へと戻るため僕らと交代。
 僕はこの時間を利用して、某コンサ系メーリングリストでの僕の発言に端を発した、ゴール裏崩壊(大袈裟・・・)の危機を回避すべく、コンササポの重鎮「おっとさん」からの呼び出し(デートのお誘い♪)に応える為、「おっとさん」を捜索するも、第1ゲート付近にてあっさりと見つかり、その場で緊急会談を断行。
 男同士。濃密で意義ある会談の末、双方のゴール裏論をすり合わせた「ゴール裏条約」の締結(めっちゃ大袈裟・・・)にこぎつけた。
 「おっとさん」へ。貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
長蛇の列 
 23時を過ぎ、既に戻っていた「おりりん&くっちゃん」を残し(薄情者・・・)、僕らは一時帰宅。
 翌朝5時に再び出撃。この時点の厚別のサポ数、7/29レッズ戦時(この時は早朝4時だった)に4割増といった感じで、既に長蛇の列。
 ここで「おりりん&くっちゃん」は再びお家へと戻った(徹夜ホントにありがとうです)。
 その後4時間が過ぎ、9時を回る頃には僕らの並ぶ第5ゲートは大混雑。サポの列は既に3往復し、今にもサブグラウンドへ伸びようという勢い。開場予定時刻は12時だから、この時点であと3時間。
 厚別の上空は快晴!なのだが、僕らのように「早くから」並んだサポは壁際に押し付けられる為、太陽が当たらない。従って、非常に寒い!この後、開場を待つ数時間は「寒さとの戦い」だった。
 それでも、刻々と時間は過ぎ、その間「ナリちゃまさん、い〜ちゃんさん、ののさん」など、このサイトを立ち上げて知り合えた皆さんとの「再会&初対面」も果たし、徐々に気持ちが高揚していく。
 そうこうしているうちにも、厚別はコンササポに埋め尽くされはじめ、第5ゲートのサポ列はどんどんサブグランドへと伸びていく。この列が、サブグラウンドのおおよそ半分を過ぎたところで、遂に厚別劇場はその観客を懐へと誘った。
 12時よりも15分ちょっと早い開場で、ゲートでは「白い恋人サンクスマッチ」の特典、「赤黒のフリースブランケット」を頂き、足早にゴール裏中心部を目指す。新緑の芝と突抜けるような青い空、そして顔面を襲う強風・・・。そこは紛れもなく厚別だった。
 ゴール裏中心部に無事、腰を降ろし一息つく。と、それまでの寒さがウソのよな日差しの急襲を浴び、とにかく着ていたジャンパーを脱ぐ。それでも暑い。ここで、この日買った「US・Tシャツ」登場。レプリカの替わりにこの日からは、この黒のTシャツが戦闘服だ。首にも揃いの「US・マフラー」を巻きつけ、心も身体も一気に引き締まる。やっぱり、カッコも大事だなぁと思う。着物とか着ると「なんか、引き締まる」のと似てる。
 やがてドールズの「ハイホーコンサ」が始まるが、どうやらB自由席後のスピーカーの調子が悪いらしく、音がほとんど聞こえてこない。これは、この後の「スタメン紹介」にも悪影響を及ぼし、鹿島のスタメン紹介の際には「誰がスタメンなのか、さっぱり?」な状態だった。続いて、コンサ選手の凱旋だ。スタメン紹介で、選手の名前がコールされる度に、既に総立ちで強風に耐えながら「ゲート旗や小旗」を掲げるゴール裏中心部を中心に、地鳴りのような大歓声が鳴り響く。 聖地厚別&「先生+きょ〜ちゃん」ダンマク
 
 もう待ちきれない!ほとばしる情熱をコールとサルトにぶつけるゴール裏。まだ、試合開始には30分ほどあるのだが、もう試合が始まってしまったかのような盛りあがりをみせる。
 また、この日は「特別な試合恒例」となった感のある、「ゴール裏・人文字大作戦」が極秘に進行していた。この日の入場者には全員、「赤黒ブランケット」が配られ、厚別が360度(IN FIGHT!除く)赤と黒に染まる仕掛けとなっていたのだが、それとは別に、ゴール裏では「SAPPORO」の人文字を白地で敢行するという計画。USのメンバーが中心となって、ゴール裏の各ブロック単位で「流れ」の説明をして、協力を仰ぐ。それとほぼ平行して、ゴール裏中心部では「レーアレーアレー・・・」でお馴染みながら、いまだしっくりこない「新曲」の練習が行なわれた。この甲斐あって、この日は随分良くなったと思う・・・。
 両選手のピッチ練習も終わり、試合開始10分前。
 超満員に膨れ上がった厚別は、今や遅しと試合開始の瞬間を待つ。
 そして、ドールズが「メインスタンド前」でパフォーマンスを始めた瞬間。それまで妙に静かだった「IN FIGHT!」が猛然とコールとサルトを開始する暴挙に打って出る。
 さすが3冠王者のサポーターらしく、見事に統率のとれたコールとサルトが繰り返され、ざわめく厚別のコンササポ。ただ、ここで強烈なブーイングをかますと、ドールズに迷惑がかかる恐れもあり、どうにももどかしい。しかも、赤黒のブランケットを掲げるタイミングを「掴み損ねる訳にはいかない!」と、妙な緊張感が漂っていたコンササポにしてみたら、「構ってられない」状態だったのかも・・・。
 ボールボーイの紹介も終わり、一層の緊張感に包まれだす厚別。
 人文字大作戦!
  そして、その緊張感が頂点に達した時。
 「コンサドーレ!サッポロー!」というきっかけの言葉と共に、一斉に赤黒ブランケットを掲げた。
 会場のあちこちから「おお〜っ!」というどよめきがおこったが、悲しいことに僕らの位置からはほとんど何も見えず、ただひたすらに「GO WEST」を歌い続ける。選手が入場する際、主将の「ののさん」がタッチラインを跨いだ瞬間、「白文字」を出す係りだった人は、もっと緊張したんだろうなぁと思います。
 この「SAPPORO」文字。TVで見たけど、キレイに出来てましたよね。ただ、「SAPPORO」の文字が浮かび上がる瞬間を押さえた映像が無いのが、非常に残念ですが。
 こういった大規模なイベントをすると、厚別全体が強烈な一体感に包まれる。そして、「勝つこと」しか考えない、絶対的な「ホーム」がそこにはあった。
 
 さあ、試合開始だ。
 この日、太腿痛で離脱の播ちゃんに替わってFWにトモが投入された。またケガから復帰後、未だ本調子に遠いミルを慣れ親しんだ「トップ下」に配し、「左サイド」にはガンバ戦に続いて山瀬を投入。この日の采配から推察するに、岡田監督は山瀬を「ジュビロの服部」のような、ユーティリティー・プレイヤーに育てるつもりのようだ。GK以外なら、なんでもこい!みたいな。
 対する鹿島は、主力をごっそり欠いた状態。特に両サイドの「相馬&名良橋」のコンビ不在は鹿島にとっては「痛すぎた」に違いない。コンサとしては、その両サイドを崩すことを攻撃の軸としたかったのだが、鹿島両サイドの若者コンビは積極的に攻撃に参加せずに自陣に引いてしまっていて、そこをなかなか突破できない。結果として、中央の「ミツオやビスマルク」に強襲を受ける形が多くなり、ボールはハーフウェアラインを跨いで、あっちとこっちを行ったりきたり。
 さて、厚別開幕となったゴール裏はというと・・・。
 すでに「トランス状態」。わかりやすく言うと「いっちゃってる状態」ってトコかな。
 喉が張り裂けそうな絶叫とスタンドを揺るがすサルト大会が繰り広げられ、傍からみたら「狂信者の集団」に見えたことだろう。
 ぎゅうぎゅうに詰め込まれたゴール裏中心部には、厚別全体のサポートを「リードしなくては」という強い責任感があり、休むことが許されない過酷な場所である。試合開始前から繰り返すサルトで足は完全に感覚を無くし、絶え間なく繰り返すコールに潰れた喉は自分の意思とは無関係に悲しげな擦れ声を発する。ふと気がつくと、試合などそっちのけで「サポートに没頭する」自分がいて、時の経つのも忘れている。
 「何故そこまで?」と思われるかもしれないが、「ここはそういう場所なんです」としか説明のしようがなく、適切な言葉も見当たらない。
 
 試合は一進一退の攻防が続き、前半ではビスマルクのボレーシュートがゴールバーに跳ね返ったシーンがもっとも決定的な場面だったのだが、「絶対負けない厚別」を作り上げたコンササポの強い念が「ボールを掻き出した」ような気がした。
 お互い決定力を欠き、無得点のまま前半を終了。試合は怒涛の結末が待つ、後半へと突入する。
 束の間の休息。ハーフタイム。
 ゴール裏中心部のサポはこの時点でケッコーぐったり気味。それもそのはず、久々の厚別でしかも相手は鹿島。これで「飛ばすな」というのが無理な話で、のっけからエンジン全開のサポは、軽い酸欠、軽いめまい・・・。
 それでも選手がピッチに姿をあらわすと、再び立ちあがり全開のコールとサルトぶちかます。どかこらやってきたのか、ゴール裏中心部には前半にはいなかったサポが更に合流し、人口密度は限界に達する。
 この声援が効いたのか、前半から飛ばし気味だった鹿島が疲れ始めたのか、後半に入ると、コンサが一方的に押し込み始めた。
 そして後半8分。ののさんのCKを俺王様が見事に押しこんで先制。ホーム側ゴールでの得点に、割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こり、それに応えるように、俺王様はゲームシャツ左胸のコンサエンブレムに何度もキスをする。
 この後もコンサの優勢な時間帯が続き、サポートもそれを後押しする様にスピード感のあるコール連発する。この時間帯に「もう1点!」という、いかにも「ホームらしい」積極的なゲームプラン。
 だったのだが、コンサのDF(ビデオで見たけど、たぶん森)がクリアボールを見事に空振り!
 「あっ!」と思ったのも束の間、ボールはここぞとばかりに上がってきたビスマルクへと渡り、冷静に同点ゴールを決められる。そして、恒例のチャネリング・・・。
 やはり、J1では「ひとつのミス」が即失点に繋がる。これが、J2との決定的な差だろう。
 同点にされたショックで一時元気をなくしたゴール裏だが、すぐさま気持ちを切り替え、コールとサルトを再開。同点にしたことで、勢いづいた「IN FIGHT!」に負けてなるものかと、彼らがコールした瞬間、それを「かき消す」ように全開のサポートを繰り広げる。
 この後両チームの意地と意地とがぶつかり合う好ゲームが展開され、そろそろ「延長」もちらつき始めた後半40分。
 コンサのカウンターが決まり、ミルが右サイドを駆け上がろうとした瞬間。後からチャージした鹿島・中田が痛恨のレッドカードで退場処分。ただでさえ白熱したゲームがこれでさらにヒートアップ。
 一人少なくなり延長にもつれこませたくない鹿島は、残り時間で最後の勝負とばかりに猛攻を仕掛け、それを後押しする「IN FIGHT!」も最後の気力を振り絞ってコールをサルトを繰り返す。
 だが、こっちだって負ける訳にはいかない。ただでさえ2連敗中で、もしこのゲームを落とそうものなら、次のJubilo戦で負けを喫した場合「4連敗」という、最悪の泥沼が待っているのだ。
 そうはさせじと、ゴール裏のサポートはいよいよ未体験ゾーンへ。
 傍から見ると、逆に声量が落ちたように感じたかもしれないが、ステレオのボリュームを目一杯大きくすると、逆に音が聞こえにくくなるのと同じような状態。
 そして、この日厚別に詰めかけたサポ、そしてTV・ラジオの前でここへ「念」を送ってくれたサポみんなの必死の応援と願いは、後半ロスタイムに奇跡を起こす。
 
 ハーフウェアライン近くから一本の縦パスが、鹿島DFの裏を突くように向ってきてた。
 このパスに瞬時に反応したのは、俺王こと「KING・WILL」。
 絶妙なトラップでボールをコントロールし、いつもの豪快なドリブルで鹿島ゴールへ突進。あっという間に、ペナルティエリアへと侵入した。これに慌てた鹿島DF秋田が後方から猛然とタックルを敢行。
 秋田の足は「ボールにいった」ように見えたが、勢い余った秋田の足はそのまま俺王を直撃!
 「あっ!」という大きな悲鳴が轟き、息を飲み込む。直後に主審の笛が鳴り響き、「どっちだっ!?」と、厚別を埋めつくしたサポーター「40000の瞳」が主審に集中する。
 そして主審は、ペナルティスポットを指差した・・・。  
 その瞬間、勝利を確信した大歓声に包まれる厚別。
 当然ながら、主審に猛抗議する鹿島の選手たち。確かに秋田の足は「ボールにいった」ように見えた、つまり「クリアが先」だったようにも見えたが、ボールのクリアされた方向が「ジャッジをわけた」と言っていい。
 このクリアボールがエンドライン、つまり俺王の進行方向にクリアされず、真横に弾かれるようにタッチラインを割っていたなら、主審のジャッジは違っていたかもしれない・・・。
 
 PKが決まった直後から地鳴りのような大歓声に包まれ続けたゴール裏だったが、次の瞬間には、ゴール裏に陣取る各コールリーダーが揃って「シーッ!」と、唇にひとさし指を立てて静寂を促す。それでも、なかなかこのざわめきは収まらない。赤と黒のゴール裏俺王様はこのざわめきの中、ビスマルクの執拗ないやがらせを強靭な集中力で払い除け、コンササポ全ての念が込められたボールをペナルティスポットにセットする。
 そして、主審の笛が鳴り、俺王様はいつものように静かに助走を起こした。
 刹那、それまでのざわめきがうその様に静まりかえるゴール裏。
 あまりに似つかわしくない、静寂な世界。 
 この瞬間、コンササポの脳裏には何がよぎったのだろう。俺王様の豪快なゴールシーンか・・・はたまた、エメのような、バーを直撃する残酷な失敗シーンか・・・。
 耳にはただ、「IN FIGHT!」の「曽ケ端コール」だけが妙に響いていた。
 
 そして、永遠の一秒を感じた瞬間は、唐突に終わりを告げ、俺王様の左足から放たれたボールが豪快にゴールネットに突き刺さった・・・。
 勝敗を決定づける勝ち越し点。
 もう歓声なのか悲鳴なのかも分からない絶叫と異様な興奮。そして、試合後も果てることない熱気に包まれた厚別。
 
 これがホーム。
 
 この日の入場者数は19920人。厚別の最高入場者数を樹立。
 そしてまたひとつ、生涯忘れることのないゲームが胸に刻まれた。 
 「Dreams Come Ture」 〜願いは叶う〜

 これが厚別。

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