観戦日記2001〜
2ndステージ 第10節 10月20日 ジュビロ磐田戦
「次こそ必ず・・・」 

 「王者Jubilo」。1993年のJリーグ発足からはJに参加せず、下部組織の「J1(現J2)」に参加。その年、アメリカW杯の最終予選を戦っていた日本代表に「ゴン中山」が選出され、チーム名は全国区となる。翌年にはJ昇格を果たし、アメリカW杯出場を逃した責任をとって退任した元日本代表監督、ハンス・オフトが「3年後に優勝を狙えるチームを作る」という公約を掲げ就任。結果としては96年の「4位」が最高で解任となったが、選手達は確実に成長を遂げ、翌年のフェリペ(現・セレソン監督)監督、桑原監督代行の下、Jリーグを初制覇すると、98/99シーズンには、アジアクラブ選手権制覇。続いて、99シーズンのアジア・スーパーカップを制覇し、一気にアジアの頂点に立つ。
 現在も「ゴン中山・名波・服部・奥」らの代表常連組に加え、「福西・西・大岩」らの代表予備軍が主軸となり、これにWユース・U−20組の「前田遼一」などが新しい血となり、高原(現・ボカ)の穴を感じさせない豪華な布陣で圧倒的な強さを誇っている。
 と、なんだか随分Jubilo的な記述が続いたが、これは基本的に僕個人が「Jubilo」というチームが好きだったからだろう。
 1996年にコンサが誕生してからは、「コンサ一筋」です。念の為・・・。
 でも何故Jubiloが好きだったかというと、Jubiloのスタートが「J1」という下部からで、ある意味「エリートエリート」していない感じがしたからだと思う。競馬でいえば、公営あがりの「オグリキャップ」が、「超エリート」ひしめく中央競馬で、良血のサラブレットたちを豪快に抜き去る姿に熱狂するのと似てるというか、なんというか。そんな感じだろうか・・・。
 結局、何が言いたいのかというと、コンサもJubiloと同じ地方のクラブ「プロビンチャ」である。Jubiloには「サッカー王国・静岡」という下地があるとはいえ、巨大企業がバックにいるわけではない。スタートも下部の「J1」からだし、置かれている境遇に似ている部分も多いと思う。
 だから、いつの日か、コンサも「Jubiloのようになれる」とそう信じたいし、信じさせてくれるサッカーをして欲しい。
 さあ、王者に挑戦だ! 

 この日は、前節の広島戦とはうって変わって早朝から出撃の準備に取り掛った。朝焼けの厚別−まだ6時前
 起きたのは5時前。この時期、外はまだ真っ暗だ。高速を飛ばし、厚別に着く頃には空も随分と白んでいたが、まだ朝やけの残る厚別にサポの姿はまばらだった。
 ややもすると、おりりんとくっちゃんが合流し、この日は早々と4人が集合。と、ここでおりりんが出がけに買ってきた「Jリーグチップス」の袋をおもむろにピリピリと破き始めた。
 すると・・・いきなり、「播ちゃん」出現!
 これは「幸先良い!」と、にわかに盛りあがる4人。
 そして、続けて破られた袋から飛び出したのは・・・なんと、「ゴン中山隊長」!!
 「あ、中山だ!」と、とりあえず平静を装う4人・・・。ただ、この時、いや〜な予感がしたのは、僕だけではなかったようで・・・。
 この日のキックオフは14時。厚別だから、開場は12時。そして、6時前から並んでいれば当然腹も空く。
 となればやはり、たじさんの「たこ焼き」。ということで、買い出しに出発。すっかり顔馴染みになったので会話も弾み、この日も「たこ焼き」をたらふく買って、日なたが気持ち良さそうなサブグラウンドでガツガツと頂いた。
 「たこ焼き」も食べ終わり、皆でまた〜りとしていると、RYOくんがひょっこりと現れ、暫しコンサネタで盛りあがる。ふと気がつくと、もう開場1時間前となっており、サブグラウンドに伸びた「第5ゲート」の列もかなりものもとなっていた。さすがは「チケット完売」のゲームである。サポの出足が早い。
 いよいよ開場の時刻となり、一斉に思い思いの場所を目指して疾走するサポ軍団。勿論僕も「その一人」なわけで、この日も無事いつもの場所の確保に成功し、一息つく。と、ここにきて、入場時にJリーグチップス「播ちゃんカード(非売品)」を貰わなかった事に気づくが、ウチの奥さんがしっかりと1枚確保していたので、まあいいか・・・ということで、席にどっかと腰を降ろした。
 この頃になると、いつもそうなのだが、無性に暑くなってくる。開場を待っていた時の格好では耐えられないくらい暑く、1枚、また1枚と着ていたものを脱いでいく。最後にはトレーナーの上に「US・Tシャツ」のみの軽装となってしまった。試合中はこれぐらいの格好じゃないと、茹であがってしまう・・。
 そしてこの日もありました、USによる「歌練習会」。
 この日の課題曲は、「2001新曲・勝利目指し 共に歌おう」です。「レー アレアレー」が3回繰り返しになるのですが、実は繰り返す毎に音程が違うんですね。この辺がまだご理解頂けてないようで・・・。詳しくはこちら
 さて、この「歌練習会」がゴール裏を一回りし終わると、そろそろ選手達がピッチに登場する時間になります。
 いつものことながら、先にピッチに現れるのはアウェイの選手。今日は相手がJubiloということもあって、彼らがピッチに登場した瞬間は、物凄いブーイングでお出迎えです。僕らの場所からはちょっと遠いが、間違いなく「ゴン・ハット・奥・トシヤ」らがいるのがわかる。まさしく大物軍団。
 こんな豪華なメンバーを目の当たりにしては、結構黄色い声が飛び交うかのではと思ったが、それはほとんど「なかった」ように思う。これはつまり「Jubilo見たさ」に集まった人間が限りなく少ない!ということで、頼もしい限りである。
 やがてコンサの選手たちがピッチに登場し、厚別は大きな歓声に包またまま、スタメン発表へと雪崩れ込む。Jubiloの豪華なスタメンがコールされる度に大ブーイングが捲き起こる。昨季終盤、コンサに籍を置いた「清水は?」う〜ん、正直よく聞こえなかったので、「?」のまま。ただ、サブにU−20で活躍した「遼一」の名がなく、こちらも「?」。ピッチ練習には確かに居たような気がするのだが・・・。これに怒った「あの方」の姿が目に浮かぶ・・・。続いてコンサのスタメンが次々とコールされ、心配はしていたが、広島戦での負傷が癒えない「ヤマ」はやはりスタメンを外れた。と、ここまでは想定内だったのだが、「播ちゃん」がいない!のには驚かされた。「岳也」がコールされた瞬間にはかなりのどよめきが起こったほど・・・。その「播ちゃん」はスタメンはおろか、サブにも入っていないのだ。王者相手に「ヤマ&播ちゃん」抜きはかなりの戦力ダウンで、この日の苦しい戦いを容易に想像させた・・・。世界小旗デー
 王者を厚別に迎えたゴール裏のテンションも最高潮に達し、最大音量のコールと地鳴りのようなサルトを繰り返しながら、試合開始を今や遅しと待ち構える時間が続く。やがて、試合直前のドールズのパフォーマンスが始まり、一時サポートが止んだゴール裏だったのだが、この間隙を突いてJubiloサポが突如としてサポートを開始。厚別開幕戦だった鹿島サポにも同じ手を使われたが、この日のJubiloサポに関しては、僕らのゴール方向から吹く猛烈な追い風のおかげで、Jubiloサポの声はほとんどこっちには届かない。ただひたすら蠢く集団の光景は、ちょっと気持ち悪かった・・・。
 そんな「気持ち悪さ」を吹き飛ばすかのように、この日は「世界小旗デー」ということで、選手入場時には「400本以上(推定)」の小旗がゴール裏を彩った。ゴール裏に集う戦う意思を持った者たちの心は一つになり、ピッチに降り立った選手達への鼓舞となるように願う。
 そして遂に、試合開始の笛が鳴った。
 序盤、確実なキープ力でボールを支配するJubilo。コンサは中盤から必死にプレスをかけるが、ボールを奪うには至らず、ボールを追い回す苦しい展開。ただ、Jubiloもコンサの執拗なプレスに苦しみ、なかなか最前線にボールを供給できずにいる。
 ボール支配率から見れば、明らかにJubiloのペースなのだが、実のところは「攻めきれない」という形の「コンサのリズム」に徐々に傾き始めていた。
 ただ、悲しいかな、中盤の要である「ヤマ」と引き気味のプレーも出来る「播ちゃん」を欠いた攻撃陣は攻撃の形を創ることが出来ず、結局はWILLが下がらざるを得なくなってしまう。こうなると左右のサイドの「上がり」に期待する事のなるのだが、WILLが中盤でボールをキープしている間に受けるファールがことごとくJubilo寄りに獲られ、なかなか流れに乗る事が出来ない。
 ゴール裏の審判に対するブーイングも次第に大きくなり、広島戦での「疑惑のPK」に端を発する審判不信はこの後徐々に厚別全体を包んでいくことになる。
 試合はこのまま「Jubiloのペースのようで、実はコンサのペース」という状態が続き、このまま前半を折り返せると思った、後半44分。大森のクリアボールがこともあろうに「ゴン隊長」の足元に転がり、「あっ!」という悲鳴のなか、これをきっちり決められ「1−0」とされる。
 なんとか前半を「0−0」で終われれば、後半は風上に立てるし、Jubiloも焦り始めるだろうと思っていたのだが、まさに痛恨のクリアミスとなってしまった・・・。
 前半はこのまま「1−0」で終了。ハーフタイムへと突入した。
 と、ここでピッチ上に異常な光景が・・・。
 というのも、ハーフタイムでは通常、控えの選手がピッチで軽めの練習を行なうのだが、この日に限って「誰一人として」ピッチ上に姿を現さないのだ。これは、控え室で岡田監督が全選手を集めたミーティングを入念に行なっていることを暗に示している。この今までにない光景は、後半突入後、岡田監督並びに全選手の限りなく高いモチベーションが王者を苦しめる場面を想像させた。軽い興奮が身体を包む。
 そして運命の後半が始まった。
 後半頭から「ヤマ」の投入を予想したが、後半スタート時の選手交代はなかった。先に動いたのはJubiloの鈴木監督。左サイドハーフの奥を下げ、金沢を投入。最前線にボールが供給できない以上、サイドを崩そうという作戦だ。
 試合は後半に入っても、相変わらず中盤を支配されたままの状態が続いていたが、守備陣の踏ん張りで追加点は与えない。試合はこのまま膠着状態に陥るのかと思われた後半7分。岡田監督は遂に「ヤマ」を投入。龍ちゃんに代わっての投入ということで、右サイドには森下が張り出し、ヤマが真ん中に入った。
 これでなんとか中盤を取り戻したかったが、Jubiloのワンタッチ・ツータッチパスの前ではなかなか思うようにはいかず、攻撃の糸口が掴めない。岡田監督は次に、ボールのキープ力という面で難がある「岳也」を諦め、トモを投入。岳也の決定力よりもトモの運動量で中盤のテコ入れを計った。それでもJubiloの中盤を突破することは叶わないと見るや、早くも3枚目のカードとして「のの」を投入し最後の勝負に出た。しかし、これで逆に中盤のバランスが崩れたわけではないと思いたいのだが、後半の31分。広島戦の疲れからか、自陣への帰陣が遅れがちになっていた右サイド・森下のスペースを突かれてしまう。だが、このピンチは森がなんとかカバーリングし事無きを得たと思った刹那、今度は森のクリアボールが「トシヤ」の足元に転るという「ボールの気まぐれ」のような「小さなミス」がコンサを襲った。Jubiloはこの「小さなミス」を突いて攻勢に転じると、この狭いスペースをパスで繋ぎ、最後は金沢が右サイドを完全に崩してしまう。
 「危ないっ!」
 と思った次の瞬間には、金沢が放ったシュートは洋平の手を掠め、ゴールに突き刺さっていた。
 lこれで「2−0」。王者相手には重すぎる2点目。「小さなミス」が「大きな失点」となってしまった・・・。
 ゴール裏にもこの2点目は大きくのしかかり、重苦しい空気に包まれる。中心部のサポートはいつものように熱かったが、残り時間が少なくなり、中盤で相変わらず確実にボールを回すJubilo陣営を前に、為す術がないコンサの選手たちを見せつけられては、その熱さは「冷めた」とは言わないが、「どうにもならないのか・・・」という屈辱的な諦めにも似たものへと姿を変えていく。
 しかも、この頃になると、なかなか思いどうりにさせて貰えない不満と怒りが主審へと向いてしまい、恐らくは「なんてことない」ファールの判定がJubiloに獲られるたび、おぞましいほどのブーイングとなって主審に襲いかかっていった。この辺りは後日、VTRを見たがそれほど「ひどくなかった」ように思う。ただ、あの日あの場所で感じた主審への不信と疑念はそれまでの「どの試合よりも」激しいもので、あれが「群集心理」なのかと思わされた・・・。WILLも「いつ切れるか」とヒヤヒヤものだったし・・・。
 試合はこの、一種異様な雰囲気の中で進み、残り時間は刻一刻と擦り減っていく。
 ゴール裏では「諦めよう」とする気持ちと「絶対諦めない!」という気持ちが攻めぎ合いを演じたまま、声を枯らした最後のサポートが続いていた。
 そしていよいよロスタイムに突入。1stでは辛酸を舐めさせられたあのロスタイムだ。
 するとJubiloのゴール斜め前でFKキックを奪取。蹴るのはもちろん「沸騰寸前」のKING・WILLだ。
 ゴール裏も「一矢報いてくれ!」と最大級のコールを送る。そして祈る。
 この想いが通じたのか、WILLが凄いだけなのか、はたまたBIJUがホントに決めたのか?なんでもいいから、とにかく1点返した。
 怒号のような大歓声に包まれながら、ゴール裏はもちろん、スタンド中がこれで一気に盛りあがった。残り時間は少ないが、幾度となく奇跡を見せてきたこの場所だけに、想うところはひとつ。同点、そして逆転だ!
 ゴール裏のサポートはからはそれまでの「迷い」が消え、ただ一つの目標に向って加速する。
 「ともに勝利を!」
 そして、このサポートを背に受けたWILLが強引なドリブルでJubiloのゴール前まで侵攻すると、ゴール右隅を狙ったグラウンダーのシュートを放った。が、惜しくもGKのファインセーブに阻まれ、最後のチャンスはCKに託された。
 もう自分の声すら聞こえない「なにがなんだか」な世界の中で、CKの助走をとるWILL。Jubiloのゴール前には洋平までもが上がり、正真正銘最後のチャンスだ。だが、悲しいかな、WILLの放ったボールはJubilo・DFの背中に当たってタッチラインを割ってしまう。
 「まだ時間はあるっ!」と勢い勇んでボールに駆け寄るが、もう「ワンプレー」を主審は許さず、タイムアップの笛が鳴る。
 最期の最期まで厚別を敵に回してしまった主審。やり場のない怒りの矛先を向けられ、怒号、野次、罵声を一身に浴びながらピッチを去ろうとする。試合中ひたすらに我慢してきたが、いまだ怒りの収まらないWILLも主審に食ってかかろうとするが、それをBIJUが必死に食い止める。去年までのWILLなら間違いなく「唾」でも吐いていたことだろう(実際にそれで、5試合出場停止の前科あり)。よく自重したものだ・・・。
 ただ、この主審。ピッチを去る際、メインスタンドから巨大なブーイングを浴びせられ、おまけに物まで投げつけられた(決して褒められる行為ではないが)りと、散々な有り様だった・・・。次こそは・・・
 
 試合に敗れはしたが、「俺たちは負けてない!」という、強い意思を感じた試合だった。
 その証しとして、敗戦時としては最大級のコンサコールが選手を出迎え、選手たちの表情にもいつもの「暗さ」は感じられなかった。
 完敗という訳ではない。流れの中からDFライン崩された訳でもない。ただ、「小さなミス」を突かれただけ。でも、それをきっちりと決めてくるあたりが「王者」と呼ばれる所以でもある。
 まあいい。それでこそ倒し甲斐があるというものだ。

 次こそ必ず!
 選手、サポーター、すべてが「深く心に刻んだ」王者への挑戦だった。

 おまけはこちら

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